欧州原子核研究機構(CERN)
ならびに隣接自治体(スイス連邦ジュネーブ州、メイリン市)視察報告
-ILC国際リニアコライダーの誘致に向けて-
1、研究、開発、教育
- 素粒子物理学に結び付ける研究をおこなう。
- ビックバンの秘密を解明する。(ビッグバンから1/100億秒後の宇宙を再現)
- 技術的な投資による加速器、検出器の開発をおこなう
- グリッドコンピューティングなどIT情報技術を開発する。(ネットワーク上にある複数のコンピュータを結びつけることにより、高性能のコンピューターを実現するシステム。20年前にウェッブを汎用させた)
- 粒子線治療機器の開発など医療分野への波及効果が大きい。
図① 宇宙年表 サイエンスフロンティア九州構想より掲載
資料:サイエンスフロンティア九州構想
参考 ILCで開発される応用技術 サイエンスフロンティア九州構想より掲載
○ ILCの研究と開発技術
- 高性能の加速器ILCには、数多くの高度な先端技術が必要とされ、高エネルギーに加速するために使われる「超伝導高周波加速空洞の技術」、加速された粒子の衝突反応を記録する「測定器技術」、ビームをナノサイズまで絞り込み、「ナノの精度で制御する技術」など、プロジェクト全てが、挑戦的技術の集合体と言われる。
- コンピュータ技術では、ILCに必要なデータ転送速度は、全世界の通信量に匹敵する程膨大なもので、最先端のコンピュータ技術や通信技術、グリッド・コンピューティング技術が重要な役割を果たし、技術開発が継続して進められる。
○ ILCで開発される技術の応用例
- 医療分野では、ガンの早期診断ツールである「陽電子放出断層撮影(PET)」は、反粒子の研究から生まれ、臓器内におけるがん病巣の視覚化を実現した。粒子線をがん等の部位にあてる放射線治療法の一つ「粒子線療法」は、治療の困難だった部位の治療で高い効果があがっている。ILCの「超伝導高周波加速技術」の応用により、検診・診断、治療装置の小型化や消費電力の削減が可能と言われている。
資料:サイエンスフロンティア九州構想
- 若い研究者の人材開発に貢献している。(CERN施設で働く研究者のうち20代が最大分布。世界各地から昨年250名の青少年を集めたサマースクールを実施している)
- 平和のための科学を追求する。(米国を意識した。欧州各国バラバラの研究を統合する)
図② アトラス実験メンバーの年齢分布
〈出典〉CERN(セルン)の概要(2013.3.1 近藤敬比彦)
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