議会通信 Vol.54 2013年 春号

2014-05-20


3月26日の福岡市議会本会議において平成25年度予算案と諸条例案が可決・成立しました。
一般会計予算額は前年度とほぼ同額の7,596億円となりました。

TOPICS

当初予算 民主・市民クラブ会派要望に一定の配慮

14ヶ月予算では「過去最大規模」

平成25年度一般会計予算は前年とほぼ同額ですが、市の財政当局は2月に国が行なった10兆円を超える緊急経済対策による補正分も合わせた14ヶ月予算としては「過去最大規模」としています。
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福岡市では今年度、市政の方向性を定める「基本計画」を改定しており、今回の当初予算は新たな基本計画に沿った初めての予算となりました。内容としては「観光」「コンベンション」などの推進による交流人口の増加を狙った新規施策が目立っています。他方、民主・市民クラブが昨年秋に行なった予算要望に対しても、待機児童解消に向けた保育所整備などに関して、一定の配慮が見られました。

「観光」に関わる主な新規施策

 1.セントラルパーク構想推進事業
   - 大濠・舞鶴公園の一体的活用に向けた検討 -
 2.黒田官兵衛プロジェクト
   - 平成26年の大河ドラマに合わせたプロモーション -
 3.都心部観光バス対策事業
   - 都心部における観光バス受け入れ環境整備の検討 -

民主・市民クラブの予算要望に沿った施策

 1.待機児童解消に向けた保育所整備の推進
   - 平成26年度までに1900人分 -
 2.国際リニアコライダー誘致推進
   - 庁内に誘致プロジェクト組織を設置 -
 3.マーケティングデータの提供
   - 行政情報のオープン化へ前進 -

会派の目指す福岡市像を明らかに

本会議代表質問[3月4日] 太田 英二 (城南区)

oota_eiji.JPG平成25年度の当初予算案を審議する議会の冒頭にあたって、太田英二議員(城南区)が民主・市民クラブを代表して質疑を行いました。

一昨年の統一地方選挙以来、会派として掲げ実現に取り組んでいるローカルマニフェストに沿って、「生活保障」「成長」「地域主権」の3つの戦略ごとに私たちが主張する政策について市当局に施策化や予算措置などを求めました。

答弁は教育委員会の所管事項を除いて全て高島市長が行い、児童虐待防止に向けた施策の充実や、ILC・国際リニアコライダーの誘致推進、企業誘致施策の強化など幅広い分野で前向きな答弁を得ました。

代表質問の主なポイント

『生活保障戦略』

・ 待機児童の解消
・ 児童虐待の防止
・ 不登校、いじめ対策
・ 買い物弱者対策

『成長戦略』

・ セントラルパーク構想
・ 市民参加型フルマラソンの実現
・ 農林水産業の振興

『地域主権戦略』

・ 住民自治基本条例の制定に向けて
・ 実効性のある男女共同参画施策
・ 外郭団体改革

虐待防止に向け「福祉専門職」を

補足質疑[3月6日]

阿部 正剛 (東区)

①児童福祉司の充実 ②外郭団体改革③がん検診の受診率向上の3項目について質問しました。児童福祉司の充実については、児童虐待防止体制の強化に向けて平成25年度に2名が増加され30名体制となることを一定評価した上で、本市では福祉専門職としての採用が6名にとどまり、それ以外は数年で異動するため十分な経験を積めていない現状を指摘しました。また外郭団体改革については、平成25年度に行われる「第3次外郭団体改革実行計画」の策定にあたって、団体の削減に対する数値目標を明確にすることを求め、当局から検討を進める旨の答弁を得ました。がん検診の受診率向上については、本市でもがんや生活習慣病に起因する心臓疾患などが死因となるケースが多いことを指摘し、これらの検診の受診率向上に取り組むよう求め、当局から前向きな答弁を得ました。

高島市長に「熟慮」を求める

補足質疑[3月7日]

田中 しんすけ (中央区)

①高島市長のこれまでの市政運営②市長公約③市長の政治姿勢の3項目について質問しました。

これまでの市政運営については、高島市長が主導して進めてきた「カワイイ区事業」や、多くの市民からの批判を受けて断念した「中国公務員の研修受け入れ」などの施策について、政策効果の指標が曖昧であったり、派手に打ち上げた割には上手くいかなかったりと、熟慮の跡が見られないものがある点を厳しく指摘。政策課題に対する嗅覚を磨くよう苦言を呈しました。また市長の政治姿勢については、行財政改革に取り組む基本姿勢として「ビルド・アンド・スクラップ」という言葉が多用されているものの、本市の取り組みは市民に痛みを伴う「スクラップ」(=事務事業の見直し)が先行していることを指摘。市長の決意と覚悟を明確に市民に示していく必要があると訴えました。

消費生活相談体制の強化を

総会質疑[3月19日]

栃木 義博 (早良区)

①国からの職員給与削減の要請②消費者行政の充実③災害時要援護者と個別避難計画づくり④公共交通空白地、不便地などにおける生活交通の確保⑤国際リニアコライダーの誘致推進の5項目について質問しました。

消費者行政の充実については、本市の消費生活相談体制が9名(北九州市は23名)であり、予算規模も20政令市中14番目に低いなどの現状を指摘し、体制強化を求めました。また、国際リニアコライダーの誘致推進については、誘致が実現した場合に国内外の研究者やその家族など3,000人が周辺に居住することや、運用開始後460~490億円の経済波及効果が期待できるとした試算を答弁から明らかにしました。また、福岡県が誘致推進のプロジェクトチームを立ち上げるのにならい、本市でも全庁的な体制整備の必要性を指摘。市長から前向きな答弁を得ました。

障害者施設産品の調達を全庁で

総会質疑[3月21日]

調 崇史 (城南区)

①障害者優先調達推進法②生活道路の安全確保③副市長人事の3項目について質問しました。障害者優先調達推進法については、平成25年4月の法施行に伴い、地方自治体が障がい者施設産品を積極的に調達する義務が生じることを受けての本市の施策について質問。所管する保健福祉局だけでなく全庁を挙げて取り組むよう求め、市長から前向きな答弁を得ました。生活道路の安全確保については、昨年の9月議会の一般質問で、生活道路の路面下空洞調査を充実するように求めたことに引き続いて来年度の取り組みを確認。国の緊急経済対策を利用し、本市が総延長2100キロの生活道路の空洞調査を行う方針であることを評価して、安全確保への決意を問いました。副市長人事については、市長の方針決定直後に複数メディアに情報が漏れた点に苦言を呈するなど、問題点を指摘しました。

給与所得者・法人数増を目指せ

総会質疑[3月22日]

三原 修 (南区)

①税収②創業支援③ICT④障がい者の就労支援⑤生活保護行政の5項目について質問しました。

税収については、個人市民税を負担する給与所得者の増加が税収の改善傾向に寄与していると指摘し、給与所得者や本市に拠点を置く法人数を増やす努力を求めました。一方で本市が財源を投入している観光施策が、関連産業からの税収増等に結びついていない現状を指摘し、成果を挙げるように求めました。障がい者の就労支援については、保健福祉局と教育委員会が別個に企業訪問等を行なっていることが非効率的であることを指摘し、一体的な取り組みを求めました。

生活保護行政については、平成25年度の保護費が続伸している状況を受けて、適正な実施と就労が可能な受給者の自立支援の必要性を強調。市を挙げて集中して取り組むべきだと指摘しました。

2月議会のポイント!

2月18日(月)、福岡市議会2月議会において田中しんすけ議員(中央区)が会派を代表して議案質疑を行ないました。国の緊急経済対策に伴う本市の補正予算案(約234億円)について、

  • ①無駄な大型公共事業が含まれていないか?
  • ②福岡市の財政負担が過大になっていないか?
  • ③新たに発行される市債が本市財政を圧迫しないか?

という3つの視点を持って議論に臨みました。

これまでわが会派が要求していた市民に身近な公共事業が大半であり、本市が持ち出す税金も少額であることを確認。また、次年度に国が新たに創設する「地域の元気臨時交付金」により、発行した市債の償還が担保されるとの答弁を得ました。しかし、市債が今以上に増えることがないという答弁は、この国の制度がきちんと担保されることが前提です。引き続き、国や本市の動向を注視していきたいと思います。