議会通信 Vol.57 2014年 新春号

2014-05-20

12月議会の概要

「平成24年度決算」を承認

決算特別委員会(10月3日~10月22日)で審議された平成24年度の一般会計・特別会計決算が承認されました。

各種条例案を可決

来年4月に予定される消費増税に向けて、上下水道料金、地下鉄運賃などの値上げを決める条例案が可決されました。また、防犯対策に向けて住民自治組織が取り組む活動を、福岡市が国や県など関係機関と連携して支援することなどを盛り込んだ「福岡市犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例」が成立しました。主な条例は以下の通り。

  1. 福岡市水道給水条例の一部を改正する条例
  2. 下水道条例の一部を改正する条例
  3. 高速鉄道乗車料金等条例の一部を改正する条例
  4. 犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例

一般会計・特別会計の補正予算を可決

待機児童解消に向けた保育所の追加整備や新規施策(後述)の実施のための追加補正などが行われました。

>> 待機児童解消に向けた対策

高島市長は平成26年度当初の待機児童ゼロを掲げていますが、人口の増加などの影響で、350人分の保育所が不足する見通しです。このため、家庭的保育事業(いわゆる『保育ママ』)の手法を活用し150人分、幼稚園の預かり保育の余裕枠を活用して1~2歳児で200人分の受け入れを図る補正予算としておよそ2億2千万円を計上しました。

>> 吊り天井の落下防止に向けた対策

東日本大震災を機に、学校施設における吊り天井の落下防止に向けた対応が、国を先頭に進められています。今回の補正では高さが6メートルを超え、面積が200平方メートルを超える市内9校の吊り天井について、撤去を行う費用としておよそ1億8千万円を計上しました。

    待機児童解消に「性急さ」も
今議会の本会議や第2委員会における審議では、待機児童解消に向けた補正予算の内容が大きく取り上げられました。先に述べた350人分の整備のうち、幼稚園の預かり保育の余裕枠を活用して200人を受け入れる手法は、福岡市において前例がありません。審議では1~2歳児を幼稚園で預かるにあたり、保育士や保育スペースが十分確保されるのか、200人もの受け入れが可能なのかなどが議論の中心となりました。

民主・市民クラブでは、第2委員会の審議において、子どもの安全や200人の受け入れの確保について当局が確実に取り組む旨の答弁をしたことから、同補正予算案には賛成しました。一方で採決が行われた12月20日の本会議では、阿部正剛議員(東区)が討論に立ち、幼稚園を活用する今回の手法が待機児童対策としては正統ではないことを指摘するなど当局に苦言を呈しました。

中央保育園の移転問題のように、無理やりな保育所整備が進められる現状は、来年度当初の待機児童ゼロに拘泥する当局の性急な取り組みが生んだ「ひずみ」と言えます。こどもが巻き込まれる事態とならないように、今後も注視しなければなりません。

豊富な森林資源を再生可能エネルギーに

一般質問[12月13日]

江藤 博美 (西区)

①林業行政の再構築②住民自治支援の制度設計に向けて質問しました。林業行政については、福岡市の森林面積が11,054ヘクタールで市域全体の32パーセントを占めており、年間1,000戸分の住宅資材供給量を保有し、間伐材を木質バイオマス発電の燃料に活用した場合に、1,400~1,900戸分の発電能力があることを明らかにしました。その上で、本市の林業政策を策定するための基礎調査を求め前向きな答弁を得ました。また、再生可能なエネルギー源としての木材の利用など多面的な機能を有する森林資源の活用に、本市が先見の明をもって取り組むべきことを訴えました。

住民自治支援については、地域の自治協議会等を行政のパートナーと位置づけ、委託すべき事業は委託費としての契約関係を成立させるなど、自立経営できる制度設計を強く求めました。

生活困窮者相談事業の充実を

一般質問[12月16日]

調 崇史 (城南区)

①生活困窮者への自立支援②経営的視点による公園の有効活用について質問しました。生活困窮者への自立支援では、先の臨時国会で成立した生活困窮者自立支援法の施行に向け、福岡市が12月に民間に委託して開設した相談窓口(モデル事業)の内容が、同法の定める「必須事業」に留まることを指摘。生活困窮者に対する生活習慣形成に向けた就労準備支援や、家計相談などの「任意事業」にまで取り組みを広げていくよう当局に求め、前向きな答弁を得ました。

公園の有効活用については、厳しい財政状況の中で市有財産の有効活用の必要性が問われていることを受けて、市が検討している経営的な視点に立った公園の維持管理の概要について質問。利用者の多い大規模公園などで今後、駐車場の有料化などが進められることについて、市議会や市民の意見をしっかり聞くことを求めました。

「補助金」の透明性確保に向けて

一般質問[12月17日]

阿部 正剛 (東区)

①第3次外郭団体改革実行計画②市の補助金③飲酒運転等再発防止について質問しました。外郭団体改革では、前計画に沿って実施した団体数削減4団体(10パーセント)を第3次計画で確実に上回ることを求めるとともに、外部有識者の意見を取り入れる必要性を訴えました。補助金については、本市が年間約300件、130億円もの支出を行なっており、包括外部監査において事務手続きの不備や広報不足などの問題点が挙げられたことを指摘し、新たな補助金ガイドラインに従って改善するよう求めました。

また、本市OBが再就職をしている補助金交付団体が本年度で12団体あり、合計で35億円が支払われていることが明らかになり、職員採用などで一層の透明化を要求しました。飲酒運転問題については、アルコール依存の重症化予防など対策強化を求めました。

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ローカルマニフェストの進捗状況を市民の皆さまに報告!

「(第2回)議会活動報告会」を開催しました!!

houkokukai.JPG私たち民主・市民クラブは、2011年の福岡市議選において「市民と一緒に地域の将来を議論に、政策のかたちで提案し、さらに市民に対する説明責任をしっかり果たすことのできる『働く議会』を実現する」ことを約束し、会派のローカルマニフェストを掲げて実現に向けた取り組みを進めてきました。この進捗状況を説明し市民の皆さまからと意見交換を行うために、昨年に引き続き「議会活動報告会」を開催しました。会場には150名を超える市民の皆さまから参加を頂き、福岡市政の課題などについて貴重な意見をお寄せ頂きました。

1.議会活動報告と今年度予算

福岡市議会の役割や審議の仕組みを始め、この1年間の会派の活動概要について報告しました(地方財政の充実・強化を求める意見書の提出、中央保育園移転問題の検証、ローカルマニフェストに基づく政策提案など)。今年度予算については、待機児童解消に向けた取り組み、行財政改革プランの概要など、市民の関心の高い話題を中心に解説しました。

2.ローカルマニフェスト進捗状況

地域主権戦略、生活保障戦略、成長戦略という3分野で、合計51施策の実現を目指していますが、これまでの進捗状況の内部評価を報告しました。2年間で会派の意向に沿って政策が実現したものが全体の68パーセントとなりましたが、会場からは「評価が甘いのでは?」という厳しい意見も頂きました。今後、更なる取り組みを進めたいと思います。

3.会場との意見交換(質疑応答)

私たち議員による一方的な説明だけではなく、議会活動報告会では自由なテーマで会場の市民の皆さまと意見交換する時間を45分あまり取らせて頂きました。とりわけ中央保育園の移転問題に関しては、現状についての説明を求める声や市内の複数の箇所で風営法関連の事業所の近くに保育園の整備が進んでいることに対して疑問の声があがりました。

平成26年度予算要望を市長に提出しました!!

teishutsu.JPG高島市長に予算要望書を提出民主・市民クラブは去る12月10日、平成26年度予算要望を高島市長に提出しました。要望書は昨年に引き続き、民主・市民クラブが掲げる「ローカルマニフェスト」を実現するための施策について当局がしっかり予算配分を行うことを求める内容となり、地域主権改革、生活保障、都市の成長の3つのテーマを柱とする50項目が示されました。

昨年提出した予算要望との比較では、①市民参加型の公共事業の推進、②税や保険料および利用料・使用料などの滞納対策、③補助金youbou.jpg予算要望書交付団体および財政支援団体の抜本的な見直し、④シティズンシップ教育の導入をはじめとする若年者の政治参加促進、⑤生活困窮者への支援強化などの計5項目が新たに加わりました。これらは民主・市民クラブ所属の8議員が、それぞれこの一年間の議会質問等で取り組んだものです。また、毎年夏に会派全体で取り組む「議会活動報告会」や、各議員が日常的に実施している市政報告会などで寄せられた皆さまのご意見を反映させ、公民館への「行政コンシェルジュ(仮称)」の配置、地域ニーズに合った保育所の適正配置、森林資源の保全と再生エネルギーへの活用など、既存の要望項目であっても新たな視点を付け加えて要望内容を洗練させたものもあります。

私たちの予算要望が平成26年度予算にしっかりと反映されるよう、3月の予算審議に向けて準備を進めます。