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議会通信 Vol.58 2014年 春号

2014-05-20

 TOPICS  中央保育園への追加補助金に反対

2月補正予算審議より

2月議会の補正予算審議では、中央区今泉に建設が進む中央保育園に対し、3,568万円の追加補助金を支出する補正予算案が上程されました。この議案に対し田中しんすけ議員(中央区)が質疑を行いましたが、その中で当局が補助金支出の根拠となる要綱を今年1月1日付けで改定し、市長が特に必要と認める場合に追加補助金を出せる旨の条項を議会に全く無断で書き加えていたことが明らかになりました。従来の要綱には追加補助金の規定がなかったことから、中央保育園を救済するためだけにルールを変えたことについて厳しく当hoikuen.JPG局を追求しましたが、所管するこども未来局は「要綱がなくても地方自治法232条の2項に基づいて補助金を出すことは可能」などとする問題答弁に終始しました。

民主・市民クラブでは、補助金の適正な支出に向けて要綱を整備すべきと指摘した平成16年の有識者会議の結果や、その流れを踏襲した平成23年の包括外部監査・昨年の「補助金ガイドライン」の策定などの議論の積み重ねに照らし、こども未来局の補助金に対する姿勢は断じて正す必要があると判断。また、補助金の目的が工事の着工延期による追加工事費の穴埋めであるにも関わらず、当局が責任の所在を明確にしないのは不当だとして徹底追及しました。

追加補助金は「失政」の穴埋め

[2月20日]本会議 反対討論

三原 修 (南区)

中央保育園に対する追加補助金を支出するとした補正予算案に反対する立場で討論を行いました。討論では「要綱がなくても補助金は出せる」としたこども未来局の認識についてこれまでの有識者、市民、議会を交えた議論への冒涜(ぼうとく)と指弾。局長級職員が誤った認識を持っていることを指摘し、会派として市全体の補助金の適正な執行に向けて取り組みを強める決意を示しました。追加の工事費が発生したことについては、中央保育園の移転事業の進め方そのものに問題があったためと指摘。高島市長に対し「失政のツケを血税であがなおうとしている」と述べ猛省を促しました。

晴れた日に雨の日のことを考える市政運営を

[3月3日]本会議 代表質問

田中 丈太郎(博多区)

平成26年度の当初予算案を審議する議会の冒頭にあたって、民主・市民クラブの政策提言について会派を代表して質疑を行いました。

質問は市政全般に及ぶものでしたが、特に高島市政で取り組まれている行財政改革プランについては、財政健全化に向けた事務事業のスクラップが市民に痛みを生じさせることについて、市長自身が決意と覚悟を明確に市民に示すべきであることを指摘しました。また高島市長の舵取りについては、「人口が150万人を突破した」「アイランドシティの土地が売れた」など、目の前の事象についての情報発信ばかりが目立っており、「晴れた日に雨の日のことを考える」視点が重要であることを指摘。人口減少後の福岡市を想定した将来のまちづくりに注力することを求めました。市長の施政方針に関する質疑の他は、主に右欄に掲載する事業について質疑を行いました。

CHECK!! 代表質問の主なポイント!

生活保障戦略

  1. 待機児童の解消
  2. 児童虐待の防止
  3. 不登校、いじめ対策
  4. 高齢者福祉施設の充実

成長戦略

  1. MICEの推進、ライブ産業の振興
  2. マーケティングデータの充実
  3. 商店街に対する支援の充実

地域主権戦略

  1. 住民自治基本条例の制定に向けて
  2. 実効性のある男女共同参画施策
  3. 公民館改革

HAMなど難病患者への上乗せ生活支援を

[3月5日]本会議 補足質疑

栃木 義博(早良区)

HAM(HTLV-1関連脊髄症)など難病患者の支援について、障がい福祉サービスの介護保険制度への上乗せ給付基準が実態と合致せず厳しすぎると指摘。市は「4月から見直し改善を進める」と約束しました。さらに患者団体と連携した難病の周知啓発を要望しました。

交通不便地対策については、丘陵地等の高齢化の進む住民の生活実態や行動形態など全市的な生活交通の需要調査に着手すべきと主張しました。水道局営業所の民間委託では、公社職員の再雇用に万全を尽くすとともに、今後の民営化に際しては自治体の検証能力を維持するために直営サービス部門の一部を必ず残すよう求めました。

「人づくり」に向けた取り組みを急げ

[3月6日]本会議 補足質疑

田中しんすけ(中央区)

福岡市が目指すべき「人づくり」のあり方について、学校教育の視点から質疑を行いました。

我が国を取り巻く厳しい環境を反映し、国の第2期教育振興基本計画でこれまでの「生きる力」から「社会を生き抜く力」を養成すべきことが明確にされましたが、質問では①社会経済環境の変化に対応して、教育の目的を今一度見つめ直し、明確化する②その目的を達成するために「子どもたちが育むべき能力とは何か」を定める③それらの能力を育むために必要な教育施策・教育内容・教育手法・カリキュラム等を実現する、という3つの作業に、教育委員会が急ぎ着手すべきことを訴えました。

「補助金」の適正な執行に向けて

[3月18日]条例予算特別委員会 総会質疑

阿部 正剛(東区)

補助金のあり方、特別支援学校における医療的ケア、若者の自立支援について質問しました。

補助金については中央保育園への追加補助金問題を念頭に適正な執行を求めた他、基準が明確でない負担金や交付金についても議会への情報提供を行うよう求めました。喀痰吸引などの医療的ケアについて、教員が行うことを福岡県が検討するとしたことに対し慎重な協議を求めた上で、看護師の配置が望ましいとの意見を述べました。若者の自立支援では、特に15歳から18歳のひきこもりの若者について、学校における追跡調査などで実態を把握するとともに、関係機関と連携し支援するよう求めました。

浮かれた海外プロモーションを糾弾

[3月19日]条例予算特別委員会 総会質疑

太田 英二(城南区)

海外での観光プロモーションについて質疑を行いました。質問では福岡市が今年1月におよそ850万円をかけて行なった台湾における観光プロモーションイベントで、会場設営が特命随意契約で発注されたこと、カワイイ区長やタレントなどの旅費・謝礼の基準が不明確だったこと、イベント参加者に対するアンケートがなく、施策効果の客観的な指標がないことなど様々な問題点を追及しました。特に高島市長がステージ上で鏡割りをして酒をふるまった点については、本市職員による相次ぐ飲酒運転事件や台湾における飲酒運転の厳罰化の流れなどを考慮すれば浮かれすぎだったと批判しました。

住民自治団体は行政の対等なパートナー

[3月20日]条例予算特別委員会 総会質疑

江藤 博美(西区)

福岡マラソン2014に向けた糸島市との連携強化、住民自治団体の支援について質問しました。

住民自治団体については、本市が掲げる「見守り、支えあう強い絆の地域づくり」にあたってはこれからの超高齢社会を想定した施策を講じるべきことを指摘。行政にとって対等のパートナーである住民自治団体が、役員の担い手の問題、居住者情報の問題などの課題を抱えていることから、住民自治支援のための基本条例の制定に向けた検討着手を求めました。地域から批判があがった「地域コミュニティとの共働のあり方」検討案については、こうした土壌づくりの後にすべきだったと指摘しました。

予算の適正な執行を

[3月25日]本会議 議案討論

調 崇史(城南区)

平成26年度予算案、及び諸条例案の採決を前に、賛成の立場から討論を行いました。

討論では民主・市民クラブ所属の議員が今議会を通じて述べた様々な政策提言や要望に配慮することを求めた他、補助金・交付金・負担金などの適正な執行や、海外プロモーションにあたっての適正な予算執行について重ねて要望しました。

また、「福岡市債権管理条例案」について、安易な債権放棄を認めたり、行き過ぎた取立てにつながらないように慎重な運用を求めた他、いわゆる「空き缶の持ち去り禁止に関する条例案」については、空き缶収集を生業とするホームレスなどへの配慮を求めました。

本議会で成立した主な条例

福岡市債権管理条例案

本条例は、市の債権管理の適正化を図り、もって公正かつ円滑な行財政運営に資するため、市の債権管理に関する手続きや基準など、必要な事項を定めるものです。適正な債権管理は、市民負担の公平および歳入確保の観点から重要な課題ですが、会派としては運用にあたって次の2点に留意することを当局に求めました。

1点目は、債権の放棄についてであり、本条例には給食費など本市の抱える非強制徴収債権を放棄する際の手続きか定められていますが、安易な債権放棄が無いよう、適宜議会へ報告するよう念を押しました。

2点目は、本条例の施行により、さらなる徴収の強化を図るために、コールセンターの設置やサービサー(債権回収会社)の活用など、債権管理業務の一部を民間事業者へ委託することが検討されている点です。資力のない人に対する過剰な取り立て等が行われないよう、委託業務の内容や契約形態等について留意することを求めました。

福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例の一部を改正する条例案

本条例が提案された背景には、近年、マンションのごみ置き場等から軽自動車を用いて組織的にゴミを持ち去る行為が増加しており、本市においてもゴミの持ち去リに関する苦情が急増していることが挙げられています。組織的なゴミの持ち去リを規制することで、市民の安全・安心なゴミ出し環境を確保するという趣旨には賛同しますが、これまで空き缶の回収等で生計を維持してきたホームレスに対する配慮が欠けている点は否めません。

ゴミの持ち去りに関しては、実態としては「自動車を使った組織的な持ち去り」が多く、規制の範囲としてはこのような大量のゴミの持ち去りに焦点を当てるべきではないか、というのが民主・市民クラブの見解です。新年度からは、地域集団回収におけるアルミ缶の報奨金を2年間限定で1キログラム当たり5円から50円に引き上げるという施策も始まります。収入源を失うホームレスヘの丁寧な対応が喫緊の課題です。